少し前に、グラナダで迫害を受けながらも幼い頃からフラメンコを踊り生計を立てて必死で生きてきた、
ロマ族のドキュメンタリー映画、サクロモンテの丘をみた。
その余韻に浸りながら一昨年の夏に訪れたグラナダの写真を見返している。
このせまい洞窟の中でひしめきあってフラメンコを見る。
ロマの人たちはここで生活し、ひとびとにご飯を食べさせ、踊りを楽しませてきた。
フラメンコショーの最後に、年の頃は60歳台くらいだろうか、
マイクなしで歌いながら登場した彼女の踊りは凄まじかった。
これまでの悲しみも苦しみも妬みも憎しみも痛みも、
全て力に変えて「突き動かされるように踊る」…とういうのはこのことだ、と思った。
生命そのものの圧倒的な力強さが胸に迫って、泣けてきて困った。
ああ、自分の音楽は、これに比べたらなんとちっぽけでちゃちなんだろう、と痛切に思った。
この日以来、いろんなことがひっくり返ってしまうくらいの衝撃だった。
満月とアルハンブラ宮殿。