ほうとう名人

あまりに寒くてほうとうが食べたくなって、
材料を買っておいたら、
昨日山梨のおばから、今日は祖母の命日で
お墓参りに行ってくれる、
とメッセージをもらった。
ほうとう名人として
テレビにでたことが自慢だった祖母は、
腰が曲がってシンクに届かなくなって、
まな板が見えなくてもものともせず、
古くて大きな菜切り包丁で
ざくざく野菜を切って、
つぎつぎ鍋に放り込んでいった。
そばで見ている方は怖いけれど、
そういえば手を切ったことはなかった。
うっかり話しかけると怒られるので、
そばに寄らないで
こたつに両手を突っ込んで、
寒い台所に立つ
あの気迫に満ちた背中を
眺めていたことを思い出す。
2日目の今日は
冷やごはんを入れて食べようかな。